レコーディング

ギターリアンプの基本ガイド

白いギターを持ったギタリストが演奏するMarshall Origin50 Comboアンプ

録音前にギターのトーンを決めるのは、意外と難しいものです。演奏中はいいと思ったトーンが、あとで聞いてみると曲やミックスに合ってない。そんな経験はありませんか?でも、そう気づいた時にはすでに録音は終わっている...。そこで活躍するのがリアンプというテクニックです。これはまず、ギターのクリーンな信号(DI)だけを録音しておき、あとからアンプやエフェクターを通して好きなサウンドに仕上げる方法です。こうすることで、一度録った演奏をやり直すことなく、最適なサウンドをじっくり追求できる、より自由度の高い手法です。

マーシャル・スタジオで録音機器を管理する人

リアンプとは?

リアンプとは、あらかじめ録音しておいたクリーンなギター音(DI)を、リアンプボックスを通して再度アンプへ送り直すテクニックです。この方法を使えば、レコーディング後でもアンプのセッティングやマイキング(マイクの位置調整)を変えて、音作りを自由に追求することができます。リアンプボックスは、ギターアンプに適したレベルに信号を調整してくれる重要な機材で、複数のサウンドをブレンドして厚みのある豊かな音を作ることができます。

リアンプに挑戦するなら、まずは以下の簡単なステップから始めてみましょう。

ステップ1:クリーンなDIギタートラックを録音する

まずは、アンプやエフェクターを通していないクリーンなギターの演奏を録音します。これは、あとで自由に音作りをするためのベースとなる大切な音源です。

  • ギターをオーディオインターフェイスやDIボックスに直接接続します。

  • DAW(音楽制作ソフト)をセットアップして、アンプやペダルを使わずにギターを録音します。

  • とにかく演奏のクオリティに集中して、ベストなテイクを目指しましょう。

緑と黒のギターを弾くギタリストのトレーニング。
マーシャル・スタジオの青いギターで練習するベース・ギタリスト

ステップ2:リアンプのための機材をセットアップする

次に、DAWの出力信号をギターアンプに適したレベルへ変換するための機材を準備します。

  • DAWのライン出力をリアンプボックスに接続します。リアンプボックスは、信号をギター用のインストゥルメントレベルに調整してくれる重要な機材です。

  • もしハム音やノイズが発生した場合は、リアンプボックスのグラウンドリフト機能を使ってみましょう。

  • 出力レベルが高すぎるとアンプに負荷がかかるため、リアンプボックス側で適切に調整してください。

  • 複数のアンプに同時に信号を送る場合は、スプリッターを併用して接続します。

ステップ3:アンプの音をマイクで録る

いよいよ、アンプの音をマイクで録音する工程です。マイクの位置によって音のキャラクターが大きく変わるため、最高のトーンを引き出せるようなマイキング(マイクの配置調整)を心がけましょう。

  • クリーントーンの場合は、温かみがあり、音の輪郭がはっきりしたクリーンチャンネルに定評があるStudio Vintage ComboOrigin20 Headなどのアンプがおすすめです。マイクをスピーカーコーンの中心(オンアクシス)に近づけて設置すると、クリアなサウンドが録れます。

  • オーバードライブサウンドには、Silver Jubilee 2555X Vintage Reissue HeadJCM800 2203 Vintage Reissue Headのようなクラシックなモデルが理想的です。より豊かで奥行きのあるディストーションを録りたい場合は、2本のマイクを使ってみてください。1本はスピーカーコーンの中心にオンアクシスで設置、もう1本はスピーカーコーンの端に向けてオフアクシスで設置。

  • 最後に、マイクをオーディオインターフェイスやミキサーに接続し、入力レベルを適切に調整してください。

2本のマイクをJCM800 2203 Vintage Reissue Headの下のコンボの前に設置。

ステップ4:クリーンなDI信号をアンプに送る

すべての機材が接続できたら、録音済みのクリーンなギタートラックの信号をリアンプのセットアップを通してアンプに送り、実際にアンプからの音を確認します。

  • DAWからクリーンなDIトラックの出力をリアンプボックスに接続し、そこからスプリッターを通してアンプに信号を送る構成にしましょう。

  • アンプのセッティングを調整しながら、理想のトーンに仕上げていきます。

  • マイクで拾った音をモニターしながら、バランスが取れた音になっているかをしっかり確認しましょう。

ステップ5:エフェクトを追加する(オプション)

ギタートーンをさらに際立たせたい場合は、リアンプした信号にペダルエフェクトを加えるのがおすすめです。アンプの前後どちらにエフェクターを挟むかによって、サウンドの印象も変わってきます。

  • ファズ、ディレイ、リバーブなどのエフェクトは、DSL40 ComboMG50GFX Comboといったアンプと組みわせることで、個性的な音の質感を生み出すことができます。

  • ペダルシリーズには、JCM800 Overdrive Pedalのような豊かで厚みのあるオーバードライブから、ShredMasterのようなアグレッシブなディストーションまで、さまざまなペダルを幅広く取り揃えています。

  • 各ペダルの設定を細かく調整して、理想のリードトーンやリズムトーンを作り上げてみましょう。

Marshall JCM800オーバードライブペダルの上面図。
ダークカーペットの上に置かれたシュレッドマスター・ヴィンテージ・リイシュー・ペダル

ステップ6:アンプの音を録音する

アンプのサウンドがイメージ通りに仕上がったら、マイクで拾った音をDAWに録音しましょう。

  • 各アンプに立てたマイクの音は、それぞれ別のトラックに録音することで、ミックス時の自由度が格段と上がります。

  • こうすることで後からミックスの段階で、異なるトーンを自由に組み合わせたり、バランスを細かく調整することができるようになります。

ステップ7:ミックスして仕上げる

最後に、DAWのミキシングツールを使ってギタートラックのバランスを整え、完成形のサウンドへと仕上げていきます。

  • 必要に応じて音量を調整し、EQやコンプレッサーを使って音にまとまりと厚みを加えます。

  • 例えば、Origin50 ComboのクリーントーンとJCM900 4100 Vintage Reissue Headの歪んだトーンを組み合わせれば、ダイナミックで奥行きのあるギターサウンドが生まれます。

  • オートメーションを活用すれば、楽曲の中でギターの聴かせたい部分を強調したり、展開にメリハリをつけることも可能です。

マーシャル・レコーディング・スタジオのキーボード

リアンプを使えば、1974x Handwired Comboのような温かみのあるヴィンテージトーンから、JVM215 Comboのような最先端で多機能なアンプの多彩なトーンまで、さまざまなアンプを試しながら理想のサウンドを追求できます。最初にクリーンなDIトラックを録音しておくことで、あとからじっくりと理想のギタートーンを作り込むことができます。少しの根気と創意工夫があれば、このテクニックはあなたのギターレコーディングのクオリティをワンランク引き上げてくれる素晴らしい武器になるでしょう。

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