Denzel Curry、独自の道を突き進む
Denzel Curry(デンゼル・カリー)という名を聞くと、2016年を思い出す人も多いだろう。彼の曲『Ultimate』がネットで爆発的にヒットし、ボトルフリップチャレンジや数々の大流行した動画のBGMとなり、カリーのむき出しのエネルギーが一気に知られることになる。だが、一瞬のブームの裏側には、もっと深いものがあった。圧倒的なパワーと深いメッセージを届けるアーティスト、デンセル・カリー。初めて世に知られるブームとなったきっかけを超え、その存在感はさらに大きくなっていった。
圧倒的なステージパフォーマンスと飾らない感情表現で世界中のオーディエンスを魅了してきたデンゼル・カリーは、現代のヒップホップシーンの中で独自の地位を築き上げている。だが、そこに止まることがないのが、彼の真の魅力だ。彼のサウンドはひとつの枠に収まることなく、スタイルを自在に行き来し、ジャンルをぶつけ合い、融合させながらも決してブレることがない。
リリースのたびに新たな領域へ挑み、サウンドを恐れず進化させてきたカリー。攻撃的でハードなヴォーカルが炸裂する『BLACK METAL TERRORIST』では、トラップにインスパイアされたヘヴィなスタイルを展開し、 『Walkin』では軽快なサイケデリックなジャズラップを見せている。さらに『RICKY』では、Project Pat(プロジェクト・パット)を彷彿とさせるマイアミベース主体のビートを打ち出している。
さまざまなスタイルを横断するカリーの音楽だが、その根底にある姿勢と激しいエネルギーがすべての作品を貫いている。その背景には、彼を育んできたハードコアやパンクシーンからの影響がある。彼はRage Against the Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)の『Bulls on Parade』やBad Brains(バッド・ブレインズ)の『I Against I』といった楽曲をカバーし、こうしたコミュニティへのオマージュを直接的に捧げてきた。これは、パンクの反骨精神がいかに深く彼の中に息づいているかを物語っている。
そうした妥協のない姿勢こそが、デンゼル・カリーをMarshallの新しいキャンペーンイメージアーティストに選んだ理由だ。Bromleyパーティースピーカーの登場を記念した新キャンペーンに、彼ほどふさわしい存在はいないだろう。どこにあっても視線を集め、強烈な存在感を放つBromleyは、カリーのハイテンションなサウンドとエネルギーに完璧にマッチしている。デンゼル・カリーはMarshallの精神を体現するだけでなく、その生き方そのものがそれを物語っている。だからこそ、Bromleyとともにパーティーカルチャーの新時代を切り開く理想のパートナーなのだ。彼のジャンルを超越したサウンドとダイナミックなエネルギーがMarshallのビジョンと重なり合うことで、忘れられない体験を生み出せると信じていた。
「音楽には人をひとつにするすごい力があると思うんだ。今回のMarshallとのプロジェクトみたいなのには、いつもワクワクしながら参加しているよ」
音楽だけでなく、家族や親しい仲間たちの支えもまた、カリーの歩みに欠かせないものだった。彼を形づくり、どんな浮き沈みにも寄り添い、今も彼を支える存在であり続けている。だからこそ、大きな節目を迎えたあとには彼らと集まり、次の音楽へ踏み出す前にエネルギーを充電する。そして本当に大切なものーーコミュニティとのつながりを改めて確かめるのだ。それは、音楽が歌詞や楽器以上のものであり、人と人を結びつける共通の言葉だということを物語っている。
「ツアーを終えて家族や仲間と過ごせるのは本当に幸せだし、こういう瞬間こそが自分の音楽や世界を形づくる大きなインスピレーションになるんだ」
カリーの音楽は、彼の包み隠さない正直さの証だ。自らの葛藤を率直に語り、たとえそれが不安や弱さをさらけ出すことになっても、自分の感情を隠そうとはしない。その姿勢はライブパフォーマンスにも表れており、爆発的な情熱に満ちたステージは、まるでハードコアのライブのようなワイルドさを感じる。
彼は一貫して、ラップやヒップホップがどうあるべきかという既成概念や同調の圧力に反発し続けてきた。そのエネルギーは、感情が幾重にも重なるコンセプトアルバム『TA13OO』からも伝わってくる。このアルバム全体と彼の作品の多くを通して、カリーは自分自身や社会についての不都合な真実を語ることを恐れず、メンタルヘルスや社会の偽善、個人的なトラウマといったタブーに切り込んでいる。
カリーはハードコアやパンクの持つエネルギーと大胆さを、ありのままに受け止めている。それはサウンドを真似るのではなく、同じマインドを貫くという形で表れているのだ。洗練された完璧さよりもむき出しの真実を大切にし、攻撃的なヴォーカルと恐れを知らない自己表現にその姿勢を注ぎ込む。彼は人種的不公正や政治的な緊張に対しても臆することなく声を上げ、音楽を単なる吐露の手段としてだけでなく、立ち向かうための武器として使っている。
ジャンルの壁を打ち破る革新的なサウンドから、ハードコアな精神、家族や自己表現との深い結び付きに至るまで、デンゼル・カリーのすべてが「決して妥協しないアーティスト」であることを物語っている。ネットを席巻したヒットで火がついた勢いは、いまや真実と反抗を軸にしたキャリアを後押ししている。マイアミベースとトラップやメタルと融合させたり、パンクの反骨精神を取り入れたりしながら、カリーは常に現状に挑戦し続け、ヒップホップの可能性を押し広げ続けている。