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Marshall Records 10年の歩み

公開日:2026年6月10日

ステージで演奏するモロトフ

Marshall Recordsは、ギターアンプとロックカルチャーに長く向き合ってきたMarshallが、2016年に立ち上げたレーベルです。そのレガシーを自然に受け継ぐかたちで生まれたこのレーベルは、アーティストたちが自分らしさを表現するためのツールと環境を届けてきました。この10年で、Marshall Recordsはもはやその原点だけでは語りきれないレーベルへと成長しました。今のMarshall Recordsを形づくっているのは、そこに集う多彩なアーティストたちと、そこで生まれた数々の作品です。

その始まり

初期のリリース作品は、Marshall Recordsというレーベルの方向性を決定づけるものでした。ロックをベースにしながらも、エネルギッシュなリフから緻密でプログレッシブなサウンドまで、幅広いスタイルを受け入れる姿勢は、この頃からすでに表れていました。 その出発点を語るうえで欠かせないのが、REWSとPress to MECOです。REWSは、アルバム『Pyro』でエネルギッシュなオルタナティブロックとダイナミックなライブパフォーマンスを打ち出し、鮮烈なインパクトを残しました。一方のPress to MECOは、アルバム『Here's to the Fatigue』で、テクニカルな演奏力と、ポップとオルタナティブロックを融合させた新鮮なサウンドで、高い評価を集めました。 そこから、レーベルのラインナップはさらに幅を広げていきます。Therapy?は、15作目のスタジオアルバム『Cleave』で、現代社会の分断に向き合う楽曲とともに、レーベルに力強いオルタナティブロックの色を加えました。Bad Touchは『Shake a Leg』で、クラシックなロックンロールをベースにしながら、バンドにとって特にパーソナルで野心的な一作となりました。さらに、ポップパンクの影響とエネルギッシュなライブを持ち味とするThe Bottom Lineは、『No Vacation』で新世代らしさを強く印象づけました。

ノヴァ・ツインズのライブ・ステージ

Nova Twins (写真提供写真提供:Frederica Burelli)

多彩になっていく音楽性

レーベルが成長するにつれ、そのラインナップにも、より多様な音楽的ルーツや視点が表れるようになっていきました。この流れの中で、ブルースもまた、このレーベルに自然なかたちで加わっていきます。ヘヴィでオルタナティブな作品と並びながら、ラインナップの幅をさらに広げていきました。 ローレンス・ジョーンズは、7作目のスタジオアルバム『Destination Unknown』でMarshall Recordsに加わりました。ブルースをルーツに持ちながら、よりロック色を強めたサウンドと、彼ならではの卓越したギタープレイで強い印象を残しました。また、Terry Marshall and Friendsのデビューアルバム『Living the Blues』では、実力派ミュージシャンたちが集い、ブルースの名曲に新たな魅力を与えながら、Marshallの歩みにも敬意を表しました。 そして大きな転機となったのが、Nova Twinsのセカンドアルバム『Supernova』でした。デビュー作で高い評価を得た彼女たちにとっても、そしてレーベルにとっても、このアルバムは大きな一歩となりました。2022年にはマーキュリー賞にノミネートされ、Marshall Recordsの名をさらに広く知らしめるきっかけとなりました。

ステージでライブを行うギャラス

Gallus

ゲンとディジェネレートのライブステージ

Gen and the Degenerates (写真提供写真提供:Jack Norris)

新しい波

この頃になると、レーベルのラインナップはひとつのジャンルではくくれないものになっていきます。そこに共通していたのは、ジャンルそのものではなく、それぞれの強い個性と、枠にとらわれないサウンドへのこだわりでした。Gallusは『We Don't Like the People We've Become』で、勢いのあるサウンドと鋭いユーモアを打ち出しながら、社会へのシニカルな視線ものぞかせました。King Nunは『LAMB』で、よりヘヴィな原点へと立ち返りながらも、彼ららしいキャッチーなメロディと前向きなエネルギーをしっかり残しています。そうした魅力こそが、彼らをロックシーンで存在感のある新しいバンドへと押し上げてきました。 また、社会や自分たちを取り巻く現実に向き合うことも、この時期の大きなテーマとなっていました。Dream Nailsの『Doom Loop』は、有害な男らしさやジェンダーアイデンティティといったテーマを、ユーモアとエネルギーあふれるサウンドにのせて鋭く表現しました。一方、Gen and the Degeneratesの『Anti-Fun Propaganda』も、若さゆえの混沌や葛藤を、反骨精神あふれるサウンドに乗せてぶつけています。そしてKid Bookieの『Songs For The Living // Songs For The Dead』では、ロック、ラップ、オルタナティブといった要素が交わり、ひとつのジャンルには収まりきらないサウンドが生まれています。

オータム・ファイヤーズのライブ・ステージ

Autumn Fires

次世代を育てる

まだ広く知られていないインディペンデントなアーティストを支援することは、Marshallの理念の中心にあり続けてきました。Kerrang! Radioとのパートナーシップのもとで開催している「The Deal」は、まだレーベルに所属していないバンドに光を当て、その成長を支えるためのコンペティションです。受賞者には、Marshall RecordsとのEP契約に加え、Download Festivalへの出演機会も用意されています。この取り組みは、Rituals、Mallavora、Autumn Firesといったアーティストたちの大切な節目を支えてきました。こうした活動からも、これからの音楽シーンを担う新しい才能を応援し続けるMarshallの姿勢がよく表れています。

新しいフィールドへ

レーベルが進化を続ける中で、そのラインナップは地域の面でもサウンドの面でも、さらに多彩になっていきました。Réjizzとの契約によって、Marshall Recordsには初めてタイ出身のアーティストが加わります。ジャズ、ソウル、モーラムの要素に、現代的なヒップホップとR&Bを融合させたタイファンクのサウンドは、レーベルに新たなカラーをもたらしました。この流れの中で、カナダのハードコアバンドCancer Batsが加わります。長く活動を続けてきた彼らは、激しいライブパフォーマンスとヘヴィなリフで知られ、その参加によってMarshall Recordsの活動はイギリス国外にも広がっていきました。さらに、ブリストルを拠点とするバンドKnivesは、ハードコアやポストパンク、自由奔放なジャズの要素を掛け合わせながら、より実験的なアプローチでレーベルに新たな刺激をもたらしました。Knivesの参加によって、レーベルのラインナップはさらに多彩な表情を見せるようになりました。

ステージで生演奏するRéjizz

Réjizz

ステージで演奏するナイフ

KNIVES (写真提供写真提供:Mike Palmer)

節目となった出来事

10年の歩みを経て、Marshall Recordsはいくつもの大きな成果を残してきました。 その代表例のひとつが、Nova Twinsです。2023年にはブリット・アワードで2部門にノミネートされ、レーベルの成功を語るうえで欠かせない存在となりました。その勢いはその後もさらに加速し、2026年にはMOBOアワードで最優秀オルタナティブロック・アクト賞を受賞。さらに『Parasites and Butterflies』で見事、全英ロック&メタルアルバムチャート第1位を獲得し、バンドにとってもレーベルにとっても大きな節目となりました。 姉弟デュオのThe Molotovsもまた、大きな飛躍を遂げています。デビューアルバム『Wasted on Youth』は全英アルバムチャートで第3位に入り、Marshall Records史上最高位を記録しました。さらにこのアルバムは、全英ダウンロードチャートとカセットチャートでも1位を獲得し、アナログやそのほかの売り上げチャート、インディーズチャートでも好成績を収めています。この結果は、アルバム自体の完成度の高さはもちろん、彼らとともにレーベルが築いてきた勢いを物語るものでもありました。

ノヴァ・ツインズがモボ賞を受賞

Nova Twins (写真提供写真提供:Elijay Briss)

ステージ上でライブ演奏を行うモロトフズ

The Molotovs

次の章へ

Marshall Recordsの歩みは、最初からひとつの決まった方向へまっすぐ進んできたわけではありませんでした。アーティストやリリース作品、そして数々の節目の中で、レーベルは少しずつ姿を変えながら、新しいエネルギーや視点を取り込んできました。そして10年を迎えた今、Big Truck、Ashaine White、Daytime TVといった新たなアーティストたちを迎えたMarshall Recordsは、これまでの歩みを振り返るだけでなく、これからの展開にも目を向けています。レーベルは、いま注目を集める才能を支えながら、これから生まれる新たな可能性にも柔軟に向き合っています。Marshall Recordsの物語は、ここからまた新しい章が始まります。

マーシャルのコンサートを満喫する人々
壁に貼られたマーシャルのポスター
ある人がエレキギターを弾いている
ある人がピアノを弾いている
ステージ上でライブパフォーマンスを披露するアーティスト
バンドと共にステージ上でライブ演奏を行うアーティスト
屋外でくつろいでいる人々のグループ
10 Years Of Marshall Records - Lifestyle image - Hybrid 16:9 (An artist performing live on stage with a band)